展覧会
シリーズ木霊
「未来の雑居ビルの未来」は、過去の記憶の中から生まれる。記憶をめぐる4つの物語が、虚ろになった部屋を満たす。
日本では古来、「やまびこ」は樹木の精霊=こだま/木霊が語っていることばであると考えられてきた。虚ろになった部屋、かつてそこに住んでいたひとの気配だけが残る部屋に、木霊あるいは地霊が語る記憶が満ちていく。
2 草野貴世-紺屋(こうや)の明後日
2021年12月18日~2022年4月17日
〈シリーズ木霊〉の第2弾は草野貴世個展。近年、藍染めや藍染めを生業とするひとびとをモチーフに制作している草野貴世。藍染め業は、古来「青屋」あるいは「紺屋」と呼びならわされてきた。草野の作品は、福岡の紺屋の町の一隅で、その町やほかの地域の「紺屋」や藍染めの歴史に触れながら、その土地の記憶を静かに語り始める。
「紺屋の明後日」は、仕事が天候に左右される紺屋(藍染業)の納期が不確実で、「明後日できる」といってもなかなか出来上がらないところから、当てにならないことのたとえ。未来の雑居ビル=旧・紺屋2023の明後日=未来はどこへ?
3 とかげ文庫コレクションの
ナウィン・ラワンチャイクン
2022年7月9日(土)~2022年10月10日 (月)
〈シリーズ木霊〉は、紺屋2023あるいは大名という町を始めとする「土地の記憶」がテーマ。ナウィンはミュージアム・シティ天神で、大名を拠点に「博多ドライヴイン」を市中で展開し、また「希望の家:モンティエンへのオマージュ/ナウィンからの手紙」(konya-gallery 2014)を開催したことで、この町ともかかわりを持ちました。さらに、初期の作品から、展覧会を開催する場所に関わり、その土地の記憶を呼び起す作品を作り続けてきました。
そうした活動を振り返ることで、土地の記憶を木霊のように語るナウィンのアートの魅力とパワーに触れる機会としたいと思います。
なお展覧会にはとかげ文庫のコレクションに加え、映像作品『ふたつの家の物語』と『四季の便り』を特別出品します。